●ソロモンの霊と聖数について
s・バレット >
あんまり虫の姿をしたデーモンっていないですよね。
ソロモンの霊に限って言えば、馬の姿で、あるいは馬にまたがって現われるデーモンはやたらと出てくるのに。あと、三つの首を持った合成獣的なデーモンも多いし、ライオンも結構出てきた。
そんな風に、似たような悪魔がいっぱいでてくるんですよ。まるで、もともと一つだった悪魔に複数の名前をつけて、分裂させたみたいに。
それで、思ったんですけどね、これはつまり、七二柱に足りない分を水増しするために、著者が意図的に分裂させたんじゃないでしょうか。悪魔の総数が七二でなければならぬがゆえに、新しい悪魔を創作した、と。
神秘学において「72」って数、何らかの意味を持ってません?
どうでしょう?思い過ごし?
TA >
ソロモンの霊は、全四章仕立ての「レメゲトン」(「ソロモンの小さな鍵」とされることも)というグリモア(広義に「デモノロジィに関する書物」と捉えていいでしょう)内の第一章で扱われていますが、最も古いものでも17世紀程度のようです。
したがって、グリモアの中では比較的新しい部類に入り、当時までにある程度洗練された各神話のエッセンスが入るのは自然の成り行きであると言えるでしょう。
多くの神は何らかの乗り物を持っているケースが非常に多く見られますので、あるいは「馬」というのはこのイメージが強く出ているのかもしれません。
馬に限らず、「乗り物に乗る」というシチュエーションは全てこれらに通底するものがあるように思われます。
また、七十二柱の霊の中にはフェニックスもいますし、牛頭人身のモラクスはおそらくミノタウロスがモデルです。
コラン・ド・プランシーによれば(あんまりこのヒト信用してないんですけど。金子氏はお気に入りらしいが)、ケルベロスですら七十二柱に含まれています(通常はナベリウスと呼ばれることのほうが多いらしい)。
獣や合成獣はこの辺から来ているのかもしれませんね。
ソロモンの霊に限らず、デーモン学に必ず付き纏うのが占星術ですが、七十二という数字はおそらくこれと関係があるのでしょう。
すなわち、方位・惑星・黄道十二宮・星座・二十八宿といったものです。
多分この場合は十二宮図を各々五度の円弧で六分割ずつ行い(占星術において「フェイス」と呼ばれる)、結果得られるのが七十二の区画(支配領域のようなもの?)、ということではないでしょうか。
もう一つ考えられるのが数秘術で、ここにおいて七十二という数字は人間の脈拍数や、春分点歳差(太陽は星々を背景に七十二年で一度角逆行する)に結びつくそうです。
s・バレット >
あ〜、やっぱ占星術なんですかねえ。それ以上のことは神学・
オカルトの伝統とか時代背景とか著者の人となりとか調べないと
最終的な判断は下し辛いですね。あんまり調べる気もないけど。
TA >
オカルティズムと言っても、現代では単なるエンタテインメントとして以上は機能していませんからね。
科学を差し置いて信仰が圧倒的に優勢を誇っていた中世(および近世初期)以降、歴史学的・社会学的にオカルトを扱う価値はあまりないでしょう。
その中で本当に使えるものを探すのは大変ですが、幸い僕は西洋史専攻ですので、歴史学的見地からおおよその判断を下していくのは何とか可能なんです。
それ以外は知識として持っておくだけでいいと考えます。
ソロモンの霊も数秘術も占星術もその程度のレベルです、僕にとっては。
決して純粋な研究対象になど成り得ませんよ。
一生懸命エンタテインメントに組み込もうとしている作品を見れば微笑ましく思うだけです。
メガテンはそれに一捻り加えるから好きなんですね、多分(最近はそうでもないように思えますけど)。
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